日本とインドは関係を深めつつある(写真は首相官邸公式サイトより引用)
インドと中国とアメリカ
2025年9月22日

 モディ・インド首相は個人的にトランプ米大統領に敵意を抱いており、トランプ氏と直接会話するつもりはまったくない。ベトナム首相や同地域の他国の指導者がモディ首相に伝えた情報によると、トランプ氏は各国首脳と電話で会談した後、実際には合意していない譲歩内容をツイッターで発表していたという。そこで、モディ氏はトランプ氏からの電話を受けないよう助言を受けていた。こうした背景が、モディ氏が2018年以来7年ぶりに中国を訪問し、プーチン露大統領と並んでリムジンに乗ったという演出に繋がっている(数週間前にプーチン氏は米アラスカでトランプ氏とも同様の演出を行っていた)。一方でモディ氏はヘッジを行っていた。彼は上海協力機構(SCO)に向かう前に日本を訪れた。日本とはより緊密で地政学的に安定した関係を持っていることを示した。また、SCOの共同声明では「一帯一路構想」への支持を唯一拒否し、軍事パレードには参加せず、中国を早々に後にした。モディ氏と習近平・中国国家主席の関係強化はすでに進行中であり、特に国境問題に関しては以前から協議が行われていた。最近インドで開催された中印外相会談では、両国間の直行便の再開、陸路貿易の再開、ビザ発給の円滑化、その他の関係正常化が合意されていた。それでも、両国関係は本質的にはライバル関係だ。中国とパキスタンの関係は、トランプ氏とパキスタンのなれ合いよりもはるかに深い。中印両国はバングラデシュ、スリランカ、モルディブ、ネパール、ブータン等、地域内のほとんど全ての国で影響力を争っている。中国はアップル、鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)等の工場に技術者のインド派遣を認めていない。インドは中国の技術に対して、アメリカ以上に厳しい輸出規制を受けているのだ。

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