約1万人の人員削減に踏み切るパナソニック
日本でも始まる「AIリストラ」
2025年8月22日

 人工知能(AI)の開発・普及に伴う構造改革の一環で、アメリカではマイクロソフト、インテル、グーグル等テクノロジー企業を中心に人員削減が加速している。AIがエンジニア等の仕事を肩代わりできるようになって効率化が図れるのが理由で「AIリストラ」の状況といえる。増収増益の好業績企業で特に目立っている。日本でも最近、黒字企業が早期・希望退職を募集する例が増えてきた。アメリカのようなAIリストラ傾向が日本でも起きる可能性は高く、黒字リストラとAIリストラのダブルの荒波が様々な業界に押し寄せる新時代の到来である。アメリカでAIリストラを進行中なのは9千人削減を決めたマイクロソフトの他、メタ、セールスフォース等の有力企業だ。金融界でもJPモルガン・チェースが人員削減の方針を示しており、ハイテク業界だけでなく幅広い業界に広がっているのが特徴だ。
 日本では明確なAIリストラはまだ生じていない。しかし、先行して増えてきたのが、黒字企業で早期退職や希望退職を募集して人員削減を目指す企業戦略だ。電機大手のパナソニックホールディングス(HD)が国内外で約1万人の人員削減を発表した他、約2千人削減のオムロンとリコー、約1千人の第一生命ホールディングス等である。企業各社を取り巻く経営環境は多様だが、内外の競争激化や新技術の開発、市場の激変を踏まえ、黒字体質のうちに人員の効率化による抜本的な組織改革に踏み切り、攻勢に転じたい思惑がうかがえる。課題は大胆なリストラ作戦で新成長戦略を実現できるかどうかである。さらなる取り組み強化策としてAIリストラに活路を見い出す企業が続く可能性が高い。

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