ホンダ本社(東京・港区)
「ホンダ」副社長辞任で
「日産」の経営統合「再交渉が頓挫」

2025年4月21日

 ホンダ(本田技研工業)のナンバー2だった青山真二副社長が急きょ辞任したことで、日産自動車の新しい経営陣が困惑している。ホンダによると、青山氏に関して「業務時間外での懇親の場で不適切な行為があった」との訴えがあったことから調査し、その結果を踏まえて取締役会で処分を決定する予定だった当日、青山氏が辞任を届け出て受理された。ホンダでは事態を重く受け止め、三部敏宏社長も報酬の一部を自主返納する。
 この突然の事態に戸惑っているのが四月一日付で新しい経営体制に移行した日産だ。ホンダと日産は昨年十二月に経営統合に向けた交渉入りで合意した。しかし、ホンダは経営統合の条件としていた日産のリストラ策が進まないこと等、経営判断の遅れに業を煮やし、日産に子会社化を打診。「対等な立場での統合」を求めていた日産の経営陣は不信感を持ち、交渉打ち切りを決定、破談に終わった。
 日産の社内外からホンダとの経営統合失敗や業績不振の責任を追及する声が強まり、内田誠社長が辞任し、後任社長としてメキシコ人のイヴァン・エスピノーサ氏が就いた他、社外取締役を除いて役員や幹部を一新した。日産の新しい経営陣は「現在のルノー、三菱自動車とのアライアンスだけでは生き残れない」との意識が強く、ホンダとの経営統合の再交渉に向け、水面下で動く一方で、自社のリストラ計画の策定を加速しているという。
 ただ、ホンダの青山氏は昨年三月の日産との業務提携の検討から、交渉役を担ってきた。その青山氏が突然いなくなったことで、経営統合の再交渉がまったくの白紙に戻ることを日産側は警戒している。「昨年八月に合意した業務提携も進まなくなる」可能性も否定できない状況で、日産の経営再建がさらに遠くなる。

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